大分市出張の2日目、東京に戻る飛行機が夕方の便だったので、ちょっと遠出をしてみることにした。向かったのは、大分名物の「関あじ・関さば」が水揚げされる佐賀関で、その目的はもちろん、関あじ・関さばを食べることである。前々回のこのコラムで、大分市内の居酒屋で食べた大分の名物料理をいくつかご紹介したが、そのうち、この時に食べたにも関わらずあえて取り上げなかったのが、この関あじと関さばである。

市バスに揺られて漁港の町まで

「関あじ・関さば」はいわば水産品のブランド名で、九州と四国の間にある豊後水道の幅わずか約13kmの狭い豊予海峡(別名・速吸瀬戸はやすいのせと)で一本釣りして、佐賀関で水揚げしたマアジとマサバだけを「関あじ・関さば」と呼ぶのだそう。

 佐賀関は大分市の東端部にある。市の中心部から行くには、佐賀関行きの市バスか、鉄道と市バスを乗り継いでいくかの2通りがあり、今回は時間の関係で、行きはバスで行くことにした。Googleマップで調べると距離は30km弱で、バスだと所要1時間13分、料金は950円と、市バスとしてはなかなかの距離と料金である。

 他の乗客はお年寄りが数人のバスに揺られ、停留所にはあまり止まることなく佐賀関に到着。目指す店の開店までまだちょっと時間があったので、ちょっと町中を歩いてみた。特別なものは何もなさそうな小さな町で、たまたま通りかかったのは小さな神社だった。

 中に入ることもなく、鳥居だけ写真に撮ってから店に向かったのだが、あとから調べてみると、そこは「早吸日女はやすひめ神社」という神社で、嘘か真か、Wikipediaでは創建が紀元前667年とある。そこで説明されていた神社の由来をここで書いていたら長くなるので省略するが、神武天皇ともゆかりがあるそうで、参拝しなかったのが今となっては悔やまれる。

交通費も含めたら4000円超えのランチ

 今回目指していた店は漁港の近くにあり、開店時間とほぼ同時に店に入った。当然のことながら他に客はまだいなかったが、店の周りはほとんど人通りがなく、昼食時間になってもどれだけ客が来るのか、はなはだ疑問ではあった。

佐賀関の漁港

 そこで注文したのが関あじ関さば定食。ご飯にツミレの入った味噌汁、茶碗蒸し、小鉢、漬物、フルーツ少々が付いて、お値段はなんと2500円だった。往復の交通費も含めたら4000円超えのランチである。

 お味のほうは、いたってフツーというか、前の晩に居酒屋で食べたものと大した差はなかった。水揚げ漁港の近くだけに期待していたのだが、同じ市内なら運搬時間もそれほど変わりはない。わざわざ来て食べるほどのものでもなかった。単に味オンチだからその旨さが分からないだけで、味の違いが分かる人からしたら旨さが全然違う……という可能性も大いにあるが。

九州によくあるローカル電車の車両。バスと鉄道を乗り継いだほうが移動時間がバス一本よりも短かったが、列車が1時間に1〜2本しかない

 帰りはバスで途中のJR駅まで行き、そこから列車で再び大分駅へ。大分空港に向かうまでまだ時間がだいぶあったので、駅近くの喫茶店に入り、こんなものを食べてみた。

「南蛮タルト」。店の説明によると、16世紀に豊後府内で南蛮文化が栄えた時代に、ポルトガルから伝来したタルトを再現したとか。調べてみると、歴史的に大分県は、戦国時代から安土桃山時代にかけて豊後国(現在の大分県)を治めていた大名の大友宗麟(義鎮)が、日本にキリスト教の布教にやって来たフランシスコ・ザビエルに府内での布教を許可して南蛮貿易も行っていたことから、スペインやポルトガルとの関わりが深いのだそう。大分土産として有名な「ざびえる」というお菓子もある。

 大分料理は全国的にはそれほど有名ではないが、なかなか侮れない。この時以来、大分には何度か出張に行っているが、その度に食を堪能している。

おまけカット:おやつにスーパーで買った「あじの丸寿司」。塩と酢で締めたアジと酢飯を赤しそで巻いてある。本来は尾頭付きらしい
佐久間賢三

仕事が忙しいわけでもないのに、出張以外にどこにも遊びに行かない日々。今年の旧正月にマレーシアに行く予定で、今からワクワクしている。