本来であれば、今回は出張地元メシ編の順番。だが、先週、東京・江東区のウォーターフロントにある豊洲公園で開かれたマレーシアフェアに行ってきた。というわけで、今回はそこで食べた懐かしのマレーシア料理をお届けする。

年に1回開催されているマレーシアフェアへ

 このコラムのプロフィール欄には、これまで「来年の旧正月は2月6日(土)。来年は必ずまた(イポーを)訪れようと、心に誓っている」と書いていた。だが、諸事情で、行けそうもなくなってしまった……。つまり、しばらくマレーシアの料理が食べられないということだ。

 これは困る。そこで、先週のマレーシアフェアへ向かった。懐かしの、そしてしばらく口にできないマレーシア料理を、いくつか食べておくためである。

「マレーシア観光年2026-2027」の公式キャラクター、マンジャ(左)とウィラは、クマ科最小のマレーグマがモチーフ

 このマレーシアフェアは、2018年11月に新宿中央公園で初めて開催され、翌2019年11月にも開かれた。その後はコロナ禍で3年連続の見送り。2023年に再開し、2024年は場所を豊洲公園に移して、翌2025年は大阪で開催。そして今年、また東京に戻ってきた(ほかにも、2022年に渋谷のMEGAドン・キホーテでマレーシア食品フェアが、2025年にイオン幕張新都心で屋内のマレーシアフェアが行われている)。

 筆者はこれまで2019年、2023年、2024年と足を運んでいて、2023年の様子は【番外編:4年ぶりに新宿で開催されたマレーシアフェアへ──ナシルマッ& etc.】でお伝えしている。

 今回で4回目の来場となる。だが、土日は人出が多く、食べ物のブースは長蛇の列になる。そこで、世間の多くの人が働いている金曜日に行くことにした。こういうとき、時間に融通がきくフリーランスは得だ。

マレーシアの軽食3種を食べてお腹いっぱい

マレーシアフェアのキッチンカー
軽食から飲み物、デザートなど、さまざまなマレーシアンフードのキッチンカーが並ぶ

 代々木公園で開かれる「●●フェス」に比べると小規模で、食べ物のブースは8つ。着いたのはお昼時だったが、並んでいる人の数はそれほどでもない。いい加減お腹もすいている。よし、これならいける。まず食べたのが、ロティ・チャナイ(roti canai)450円。

 ロティ・チャナイはインド発祥の薄焼きパンの一種だが、パンというより、厚手でサクサクしたクレープといったほうがいいかもしれない。マレーシアで食べたロティ・チャナイは、以前【カレーとの相性が抜群なインド由来の薄いパン──Roti canai(ロティ・チャナイ)】と【飛行機が遅れて列車に乗り損ねた後の腹ごしらえ──カレー&ロティ・チャナイ】でも紹介している。ぜひそちらもご覧いただきたい。

 ロティ・チャナイにもさまざまなタイプがあるが、これは中国大陸や台湾の屋台で売られている手抓餅(ショウ ヂュア ビン)に似ている……と思う。手抓餅には、小麦粉の生地を鉄板やフライパンで焼き、焼き上がったら仕上げに手で全体をつまむようにクシャクシャッとほぐして、サクッとした食感を出す作り方がある。それに似ているのだ。

 食べ方はインドカレー屋のナンと同じ。手で千切って、カレーにつけていただく。カレーのほうも、それに合わせて具なし。スープに近い。ロティ・チャナイはナンより薄くて軽いので、小腹を満たすにはちょうどいい。

 お次は、同じブースで買ったナシ・ルマッ(nasi lemak)650円。

 ナシ・ルマッは、ココナッツミルクで炊いたご飯に、サンバルとイカン・ビリス(マレーシアの煮干し)、ピーナッツ、ゆで卵、きゅうりのスライスなどを添え、バナナの葉で包んだ朝食の定番だ。三角錐のちまきのような形が一般的だが、ここでは中身が上から見えるような包み方になっている。

 サンバル(sambal)は、マレー系料理やインドネシア料理によく使われるスパイシーな調味料。最近流行りの南インド料理で出てくるスープのサンバル(sambar)とは、まったくの別物だ。

 さて、葉っぱを開いてみる。きゅうりは入っていない。だがその代わり、サンバルの下に、小さなチキン・ルンダン(chicken rendang)が隠れていた。これは嬉しい驚きだ。

 ルンダンは、肉をココナッツミルクと香辛料で煮込んだマレー系の料理。筆者はイポーではいつも中華系の人たちと食事をしているので、実は現地でルンダンを食べたことがない。日本からイポーに向かう途中、シンガポールの空港のフードコートで、チキン・ルンダンを一人で食べたことがある程度だ(【シンガポール・チャンギ空港で一夜を過ごす前に──ラクサとナシ・ルマッ&チキン・ルンダン】)。

 サンバルをご飯に混ぜて、チキン・ルンダンやイカン・ビリス、ピーナッツと一緒に食べていく。こちらもほどよい量だ。ロティ・チャナイを食べたあとなので、腹もちょうどいい具合になった。

 これでやめておけばいいのに、しばらくマレーシアに行けそうにないと思うと、もう一品食べたくなった。ブースを回って選んだのが、カヤトースト(kaya toast)500円。

 カヤジャムとバターを挟んだトースト。だがブースの看板を見ると、ここではバターの代わりにマーガリンを使っていた。500円もとるのだから、ケチらずバターを使ってもいいんじゃないか……。

 カヤジャムはココナッツミルクが主原料。香り付けと色付けにはパンダンリーフという葉っぱも使われている。ジャムなので、当然のことながら甘い。

 マレーシアで食べたカヤトーストについては、以前に【美味いのだけどバターたっぷりのカロリー爆弾──カヤトースト】と【マレーシア歴30年弱にして初めて食べた朝食の定番──カヤトーストと温泉卵】で取り上げている。興味のある方はそちらもご覧あれ。

イポーで食べたカヤトースト

 そこでも触れたが、カヤトーストのパンは本当にサクサクとした歯ざわりで、しかも香ばしい。これは炭火で焼いているからだそう。ところが、キッチンカーの中でそこまでやるのは無理なのか、ほどよくトーストされてはいたものの、いたって普通のトーストである。カヤジャムを挟まれたパンは、しんなりしていた。

 あとから考えると、今回食べたものはどれも、マレーシアでは一般的に朝食で食べるものばかり(もちろん、日中の軽食としても食べる)。本格的な料理を現地で食べられるのは、いつの日か。我好掛住怡保嘅嘢食!(広東語・イポーの食べ物がすごく懐かしい!)

関連リンク

マレーシアフェア(公式サイト)

吃貨美味探訪記 No.198(マレーシア編その35)「番外編:4年ぶりに新宿で開催されたマレーシアフェアへ──ナシルマッ& etc.」(セキュリティ・インサイト)

ロティチャナイ Roti Canai(マレーシアごはんの会)

吃貨美味探訪記 No.158(大馬編その15)「カレーとの相性が抜群なインド由来の薄いパン──Roti canai(ロティ・チャナイ)(セキュリティ・インサイト)

吃貨美味探訪記 No.246(マレーシア編その58)「イポー旧正月編14:飛行機が遅れて列車に乗り損ねた後の腹ごしらえ──カレー&ロティ・チャナイ」(セキュリティ・インサイト)

手抓餅とは?葱抓餅・葱油餅・蛋餅との違いや作り方(砂色)

ナシレマッ(Wikipedia)

サンバル(Wikipedia)

イカン・ビリス(マレーシアごはん)

サンバール(Wikipedia)

チキン・ルンダン Chicken Rendang(マレーシアごはんの会)

ルンダン(Wikipedia)

吃貨美味探訪記 No.220(マレーシア編その45)「イポー旧正月編1:シンガポール・チャンギ空港で一夜を過ごす前に──ラクサとナシ・ルマッ&チキン・ルンダン」(セキュリティ・インサイト)

カヤトーストとは?(ヤ クン)

カヤジャム(Wikipedia)

吃貨美味探訪記 No.224(マレーシア編その47)「イポー旧正月編3:美味いのだけどバターたっぷりのカロリー爆弾──カヤトースト」(セキュリティ・インサイト)

吃貨美味探訪記 No.244(マレーシア編その57)「イポー旧正月編13:マレーシア歴30年弱にして初めて食べた朝食の定番──カヤトーストと温泉卵」(セキュリティ・インサイト)

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吃貨美味探訪記一覧(No.1〜200)

佐久間賢三

来年の旧正月は2月6日(土)。来年は必ずまたイポーで旧正月を過ごそうと心に誓っていたが、諸事情で行くことができそうになく落ち込んでいる。次にマレーシアに行けるのはいつの日か。