これまで6年弱、61回にわたって続けてきたマレーシア編もついにネタ切れ。いったん幕引きとすることにした。というわけで今回からは、先日10年ぶりに訪れた香港&深圳編。現地でせっせと食べ歩いてきた記録を、しばらくお届けしていく。滞在は丸6日間(香港3日半、深圳2日半)。さてこの新シリーズ、いったい何回まで持つことやら──。
見慣れた景色で気分が一気に日常モードに
羽田空港国際線ターミナルに着いたのは夜11時すぎ。出発は午前2時台とあって、さすがに混雑はしていないだろうと思いつつ、空港でのんびりする時間も旅の一部。少し早めに到着した。

睡眠時間を確保するために機内で離陸前から爆睡し、香港国際空港に到着したのは朝6時過ぎ。入国審査と税関を抜け、到着ロビーに出たのは7時ごろだった。そこからエアポートバスに乗り、九龍サイドへと向かう。

乗ったのは、紅磡駅行きのA21。旺角(モン コック Mong Kok)に入るとネイザンロード(Nathan Rd. 彌敦道)を尖沙咀(チム サー チョイ Tsim Sha Tsui)に向かって南下する。ネイザンロード沿いにはホテルが多いので、観光客にとって使い勝手の良い路線だ。

最初のうちは「来たぞ!香港」と観光気分いっぱいだったのだが、バスがネイザンロードに入ったあたりから様子が変わる。両側に並ぶビルと看板を眺めているうちに、気分がすっと日常モードに切り替わってしまった。
かつて深圳に住んでいた頃、ネイザンロードは仕事で何度も通った場所だ。10年以上前の記憶とはいえ、見慣れた景色の力は侮れない。
今回の宿は、油麻地(ヤウ マー テイ Yau Ma Tei)のネイザンロード近くにある雑居ビル内の小さなホテル。チェックインにはまだ早かったので、スーツケースをフロントに預け、さっそく朝食へと出かけることにした。
お粥と油條、朝の最強コンビ
向かったのは旺角にある花園街街市(Fa Yuen Street Market)にあるフードコート。油麻地からは地下鉄で1駅だが、歩いても1kmちょっと。せっかくなので街並みを眺めながら、ネイザンロードを北へ歩く。
街市(ガーイ シー)は、生鮮食品から乾物、雑貨までそろう庶民の台所。香港各地にあり、フードコート併設も珍しくない。この中にある妹記生滾粥品(ムイ ゲイ サーン グヮン ゾック バン)は、日本人観光客にも知られた人気のお粥店らしい。


メニューを前にしばし悩み、結局選んだのはこちら、生滚及第粥(サーン グワン カップ ダイ ゾック)と油條(ヤウ ティウ)である。

生滾とは、生の具材を粥やスープと一緒にさっと煮る調理法。及第粥は豚モツ入りの粥で、ある男がモツ粥を食べて試験勉強を乗り越え、科挙に合格したという故事から、「科挙に合格する」という意味の「及第」にちなんだ縁起物でもある(由来には諸説あり)。
そして油條。いわゆる中華風揚げパンで、香港では油炸鬼(ヤウ ザー グヮイ)とも呼ばれる。これを頼まずして、お粥は語れない。
やけどしそうなほど熱々でトロトロの粥に、絶妙な火入れのモツ。滋味深い味が、寝ぼけた胃袋をゆっくり起こしてくれる。日本の「病人食」的な水っぽいお粥とは、完全に別ジャンルだ。
油條はそのままサクサク食べてもいいが、粥に浸すのもまた一興、というか、これをせずに香港のお粥を語るなといえるほどマスト。油のコクに、粥のやさしい味がまとわりつき、ぐっと奥行きが出る。
もっとも、一人で完食するにはなかなかのボリューム。朝からしっかり満腹である。
ウン十年ぶりの黃大仙
腹ごしらえを終え、ここからようやく観光モードへ。せっかく10年ぶりの香港なのに、気分が日常モードのままではもったいない。というわけで、旺角からMTR(地下鉄)に乗り黃大仙祠(ウォン ダーイ シン ツィー)へと向かった。

MTRは、香港版Suicaともいえるオクトパスカードのモバイルアプリ「Octopus App for Tourists」を事前に日本でスマホに入れ、クレカでチャージして利用した。ちなみに、「香港版Suica」と書いたが、歴史はSuicaよりもこちらのほうが4年先輩である。
深圳に住んでいたころ、黃大仙には一度も来たことがなかった。当時の香港は、仕事か買い出し(主に日本食品)に来る場所であって、観光地という感覚がほとんどなかったのだ。
とはいえ初訪問ではない。ウン十年前、出張で来た際に案内してもらったことがある。そのときは占いも体験した。細い木の棒が何本も入った筒を振っていると、なぜか1本だけがすっと飛び出してくる。その番号を占い師に伝えるという、なんとも不思議なスタイルだった。
さすが有名観光地だけあって、境内は大勢の観光客でにぎわっている。道教・仏教・儒教が融合した寺院で、色彩の派手さも含めて、いかにも中華的な世界観だ。

というわけで、香港観光パート1はここまで。次は再びMTRに乗って尖沙咀へ向かう。そこはかつて数え切れないほど行った場所。10年ぶりの香港は、どこまで変わっているのか。それとも意外と変わっていないのか──。
佐久間賢三
今年の旧正月は、仕事の都合でマレーシアのイポーで過ごすことができず、現地の知り合いからSNSで流れてくる現地の様子を見るだけ。来年の旧正月(2月6日)こそはと、今からスケジュールをあれこれ考えている。
関連リンク
羽田空港(公式サイト)
香港国際空港(公式サイト 英語)
城巴機場快線(公式サイト 中文)
A21バス路線図(maps Hong-Kong)
妹記生滾粥品 Mui Kee Congee(食べログ)
及第粥(Wikipedia)
MTR(公式サイト 英語)
黃大仙(香港政府観光局)
八達通 Octopus(公式サイト 英語)
Octopus App for Tourists(公式サイト 英語)
