前々回、前回に引き続き、北海道函館市の出張地元メシ第3弾&最終回(というほど長くは続いていないが……)。出張2日目。帰りは夜の便。となれば――空港へ向かう前に、もうひと遊び&美味いもの巡りをするしかない。
北海道三大ラーメンの一つ
市電の1日乗車券を握りしめ、まずは五稜郭へ。タワーの展望台から見下ろすと、見事な星形がくっきり浮かび上がる。

この形は見た目のロマン優先ではない。函館市市政ポータルサイトの「五稜郭の概要」によると、16世紀ヨーロッパの城塞都市をヒントにした軍事設計とのこと。美しさの裏に、実に合理的な理由があったわけだ。
訪れたのは北海道の春の時期だったので緑一色だったが、これが桜の季節なら、星形の内側が薄桃色に染まる。そういえばこの五稜郭の形、桜の花びらを象ったようにも見える。
五稜郭から市電で函館駅近くまで戻って、ランチは函館ラーメン。基本は塩で、北海道では札幌の味噌、旭川の醤油と並ぶ三大ラーメンの一つだそう。

スープは驚くほど澄んでいる。もはや味がついていないのでは、と疑ってしまう透明感。北海道が誇る摩周湖を思わせる――いや、直線距離にして350km(東京都と京都の直線距離にほぼ匹敵)も離れているのだが。
一口すすれば、塩の輪郭はくっきり、それでいて奥行きがある。澄んでいるのに薄くはない。こういうラーメンは、気づけばスープまで完飲している。
午後は優雅にアフタヌーンティーを
空港に向かうまで、まだまだ時間がある。というわけで、市電に乗って次に向かったのは、函館ハリストス正教会。ここは、ロシア正教会やギリシャ正教会などと同じ正教会の一つである日本正教会の教会。東京の神田駿河台にあるニコライ堂は、日本正教会の本山である。

教会の厳かな雰囲気に浸ったあとは、近くの旧イギリス領事館内にあるティールームへ。平日の午後、まさかの貸し切り状態のなか、優雅にアフタヌーンティーなどを。


写真右上は、紅茶が冷めないようにカバーがかぶされたティーポット。その脇には、紅茶の飲み頃を知らせる砂時計。左はスコーンとクロテッドクリーム、それにジャム、というシンプルな構成。3段スタンドのフル・アフタヌーンティーではなくても、これだけで充分に優雅な気分にさせてくれる。
紅茶にスコーンのアフタヌーンティーなど何十年ぶりだろう……と思い返してみたら、12年ほど前に上海で中国人女性とご一緒した時以来だった。やはりアフタヌーンティーは一人ではなく、誰かと一緒のほうが楽しい。
ところで本場・イギリスでは、スコーンにはクロテッドクリームとジャムのどちらを先に乗せるかで、何百年にもわたり論争になっているそう。というか、論争すること自体が文化のようなもので、単に好みや習慣の問題のようである。
ちなみに筆者は、ジャム先塗り派。アフタヌーンティーのような上品な習慣には慣れていないので、ふわふわしたクロテッドクリームの上にジャムは塗りにくいからである。
同様に、イギリスでミルクティーは、カップに入れるのは紅茶が先かミルクが先かという論争も100年以上にわたり繰り広げられていたそうだが、こちらについてはイギリスの王立化学会が2003年に、ミルク先行説を化学的に立証している(タカナシミルク「ミルクは先か、後か、英国紅茶論争ついに決着」)より。
ティーポットの紅茶はカップ3杯分くらいあり、食べ飲み終える頃にはお腹いっぱい。腹ごなしに、函館駅まで市電に乗らず、歩いて向かった。すると、途中で出くわしたのが、北海道坂本龍馬記念館。

西日本だと「坂本龍馬がここに来た」という案内や看板をたまに見かけるが、まさか北海道まで来ていたとは……と思ったら、記念館サイト内の「龍馬が目指した蝦夷地開拓」に説明があった。
それによると、龍馬は蝦夷地開拓を目指す計画を立てていたが、師である勝海舟に迷惑がかかると判断して断念したり、購入した船が沈没したりで、宿願を果たせぬまま京都で暗殺されてしまった、のだとか。この調子だと、もし龍馬が暗殺されずに明治の時代を駆け抜けていたとしたら、日本全国に「坂本龍馬がここに来た」の看板が掲げられていたのではないだろうか──。
函館駅からバスで函館空港へ。搭乗前の腹ごしらえは、炙った生干しこまいと、函館に来たからには食わねばならぬイカ飯を、生ビール&サワーで。こまいは「氷下魚」と書き、氷の下に網を張って獲るからだとか。香ばしさと白身の上品な旨味があり、これにマヨネーズをつけるとビールにぴったり。


というわけで、3回にわたってご紹介してきた北海道・函館編もこれにておしまい。次はどの街の地元メシに呼ばれるのだろうか。
関連リンク
市電1日乗車券(はこぶら-函館市公式観光サイト)
五稜郭タワー(公式サイト)
五稜郭の概要(函館市 市政ポータルサイト)
昔ながらのすっきり味、函館の塩ラーメン(はこぶら-函館市公式観光サイト)
摩周湖~日本一の透明度を誇る神秘の湖(弟子屈なび)
函館ハリストス正教会(公式サイト)
正教会(Wikipedia)
日本正教会(公式サイト)
ニコライ堂(公式サイト)
函館市旧イギリス領事館(公式サイト)
アフタヌーンティー(Wikipedia)
スコーン(Wikipedia)
クロテッドクリーム(Wikipedia)
The Royal Society of Chemistry – 王立化学会(公式サイト)
「ミルクは先か、後か、英国紅茶論争ついに決着」(タカナシミルク)
北海道坂本龍馬記念館(公式サイト)
「龍馬が目指した蝦夷地開拓」(坂本龍馬記念館)
コマイ(ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑)
烏賊飯(Wikipedia)
佐久間賢三
一昨年、昨年と旧正月をマレーシアのイポーで過ごす。今年も行きたかったが、今年の旧正月は2月17日。月の半ばは出張が入ることが多く、断念。気が早いが、来年の旧正月は2月6日(土)。来年は必ずまた訪れようと、心に誓っている。
