シンガポールのチャンギ国際空港で一夜を明かすことになったこの日、ホテルには泊まらずに、空港ロビーの長椅子を探して寝ることにしていた。果たしてぐっすり眠れる場所は見つけられたのだろうか。

運良く寝る場所を確保

 チャンギ空港は24時間オープンなので、深夜に近い時間になっても空港内は人が多い。ここはトランジット客も多いので、空港の外には出ずに、ここで一夜を明かして翌日にどこかに出発する人たちが空港内を大勢いる。

 人が一番多いターミナル1は、ほとんどが一人掛けの椅子で、座り心地はよくても、長時間寝るにはちょっとしんどい。奥のほうに、寝やすい長さがある椅子が並んでいるところがあったが、当然のことながら先客がいて、とても空きそうになかった。

 そこで、比較的人が少ない別のターミナルに行くと(ターミナル2だったと記憶しているが、定かではない)、長椅子が並ぶスペースがあり、運良く空いている椅子を見つけた。

脇にコンセントが付いているところが、旅行客には便利。ただし、コンセントの形が日本とは異なる

 普通の椅子で寝るよりはずっとよかったが、上半身部分がせり上がっているために寝返りがしにくく、寝られることは寝られたが熟睡はできず。朝4時に係官が来て起こされ、パスポートとボーディングパスのチェックされたものの、まあまあ快適な明日を迎えられた。

 そして、朝7時シンガポール発の便に乗り込み、いざイポーへ。旧正月直前ということもあり、シンガポールからイポーに帰省する人が多いからなのか、早朝の便にも関わらず飛行機はほぼ満席だった。

イポーの空港に着陸する直前の風景。見えるのは住宅地

いつもと同様、イポーでは朝からお腹いっぱい

 約1時間半後の午前8時25分にイポー空港に到着。一応国際線なので、空港で入国審査と税関審査がある。そこを抜けると、空港のWi-Fiにつなげて、微信(中国版LINEのWe Chat)で現地の親戚(付き合いをしている一族)の一人に連絡。10分もしないうちに空港の出入り口前に車が来た。彼らの家は、空港から直線距離でわずか2.5kmのところという、非常に近いところにあるのだ。

 誰か一人で迎えに来るのかと思っていたら、おばさん3人と子供が1人、後部座席に乗っている。まるでついこの間会ったばかりかのように(実際は1年4か月ぶり)、「好耐冇見」( ホウ ロイ モウ ギン、「おひさしぶり」という意味の広東語)などという挨拶もそこそこに、そのまま車で朝食を食べに食堂に行った。

 イポー1食目は、ここに来ると必ず食べている朝食の定番の一つ、ナシ・ルマッ(nasi lemak)。前日にシンガポールで食べたばかりだが、こんなふうに三角形に包まれたものを開いて食べるのはまた格別である。

食堂のナシ・ルマッは、このように包まれていることが多い。左はコピ・アイス(kopi ais アイスコーヒー)

 包みを開くと、中にはココナッツミルクで炊いたご飯、ゆで卵、ピーナッツ、イカン・ビリス(ikan bilis、小魚の煮干しのようなもの)、そしてキュウリのスライスに、サンバルソースがかかったものが入っている。

 前回、シンガポール空港で食べたナシ・ルマッを紹介した時に「一般的な食堂ではバナナの葉でチマキのように包まれて」と書いてしまったが、今は昔の話で、今ではこのような、表面がコーティングされて水が染み込まない紙に包まれていることが多いようだ。

 これに何かスープでも付いていたら、さらにいいんじゃないかと思うのだが、そういう習慣はないようである。おにぎり1個半くらいの量で、これだけでお腹いっぱいになることはないが、まあまあお腹は満ちる。

 だが、イポーに来たら、これだけで済むことはまずない。必ずもう一品、何かが目の前に置かれる。今回は、ナシ・ルマッをもうすぐ食べ終えそうな頃に、この2つが運ばれてきた。

汁なし(左)と汁あり(右)のカレー・ミー(curry mee カレー麺)。奥にある小皿は湯葉を揚げたもの。カレースープに浸して食べる

 さすがに2つとも食べられるわけはないので、汁ありのほうをいただいた。これは定番の美味しさ。名前は同じカレーでも、日本のカレーうどんとは全然違う味わいである。

 いつものことながら、朝からお腹いっぱい。これが帰国まで1週間続く。

 食べ終えると、再び車に乗って別の場所へ。今度はお正月用品を売る店である。旧正月まであと2日。まだ買い揃えていないものがあったらしい。

 イポーは中華系の人が多いので(市全体の過半数)、商店街では旧正月の飾りを売る店が数多くある。そして店内には、赤と金色の品々が並んでいる。

これは福建系華人向けの飾りで、高さは約1.8mで、値段は1万円くらい。福建系の人たちは旧正月初日よりも8〜9日目の方を盛大に祝うのだとか

 店で提灯を買うと、ようやく今回お世話になる家へ。寝室に荷物を置いて着替え、隣にある別の親戚の家に行くと(親戚の家が並んでいる)、室内に旧正月らしい飾り付けがあった。果たしてイポーの旧正月はどんなものなのか。中国での経験はあるが、イポーでは初めてだったので、楽しみである。

揮春(広東語:ファイ チョン)は旧正月の時に貼るもので、左右に縁起のいい言葉の対句が、上にも短く縁起のいい言葉が書かれている
佐久間賢三

仕事が忙しいわけでもないのに、出張以外にどこにも旅行に行かない日々。マレーシアのイポーで過ごした今年の旧正月が楽しすぎて、すでに来年も行くつもり満々でいる。