米ISC2は12月17日、2025年版「サイバーセキュリティ人材調査」(Cybersecurity Workforce Study)の結果を発表した。その概要は以下のとおり。

■グローバル市場:最大の課題は「人員不足」から「スキル不足」へ

今年の調査で最も顕著だったのは、企業が直面する最大のリスクが「人員不足」から「スキル不足へ」と明確に変化している点。世界の回答者の95%が何らかのスキル不足を抱えていると回答し、特に「重大または深刻なスキル不足」が59%と前年比から大幅な増加を示した。

スキル不足を抱えていると答えた回答者のうち88%が、自組織でスキル不足に起因する重大なインシデントを少なくとも1回経験しており、69%は複数回にわたる被害を報告している。

この背景には、依然として続くリソースの制約がある。回答者の30%が「必要なスキルを持つ人材」を確保できていないと回答しており、29%が「組織を適切に保護するために必要なスキルを持つスタッフを雇用する余裕がない」と回答している。

その結果、72%は人員削減によって侵害リスクが著しく高まることに同意している。一方で、2025年は予算削減とレイオフがいずれも前年比でわずかに減少しており、昨年の下落傾向からは一定の落ち着きを取り戻しつつある。

■日本市場:雇用の安定性が高いという特徴

日本市場には世界と異なる特徴も見られた。過去12カ月の間に、サイバーセキュリティ分野におけるレイオフ経験者はわずか12%、採用凍結は18%、予算削減経験は29%と、いずれも世界平均を下回り、雇用環境は比較的安定している。

世界的なサイバーセキュリティ要員不足の背景には、依然として不十分な人材・予算リソースが存在するが、日本ではこの傾向がさらに顕著で、42%が「必要な人材を確保できない」(世界29%)と回答している。「企業が競争力のある給与を提示していない」と回答した日本の回答者は39%に上り、世界平均(25%)を上回っている。

■サイバーセキュリティ領域でのAI導入

グローバル回答者の28%(日本24%)がすでにAIツールを業務に統合しており、利用可能なAIツールの評価の開始(世界22%、日本15%)、セレクトしたAIツールのテスト中(世界:19%、日本:12%)、AIの統合が完了、いずれのフェーズにおいても、日本(計51%)は世界(計69%)より遅れている。

AIは、2年連続で最も必要とされるスキルの一つとなっている。今年は41%(日本32%)の回答者が「必要な主要スキル」としてAIを挙げ、次いでクラウドセキュリティ(グローバル36%、日本28%)が続いた。

グローバル回答者のほぼ半数(グローバル48%、日本39%)が、より汎用的なAIの知識やスキルの習得にすでに取り組んでおり、他方では脆弱性や悪用手法の理解を深めるため、リスクのあるAIソリューションについて自主的に学んでいる(グローバル35%、日本26%)専門家もいる。

■困難の中でも情熱を失わないサイバーセキュリティ人材

調査では、経済不安や業務負荷が続く中でも、サイバーセキュリティ専門家は自身の仕事に前向きであることも示された。87%は「サイバーセキュリティ人材は常に必要」と考え、81%が将来性に自信を持っている。また、68%が現在の仕事に満足しており、80%が自身の仕事に情熱を持って取り組んでいる。

一方で、サイバーセキュリティ専門職が仕事上のストレスや燃え尽き症候群を経験していることも示されている。また、キャリア成長の機会や評価が、業界の専門職にとって重要な要素であることも分かった。

参加者の約3分の1である31%(日本30%)が「昇進の機会」を、23%(日本21%)が「突発的な金銭的報酬や福利厚生(業績によるスポットボーナス、追加の有給休暇など)」を、職務へのエンゲージメントを高める主要因として挙げている。

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ISC2