「マレーシア食い倒れ旅編」が前回で終わり、今回は中休みとして東京で食べたマレーシア料理(またはシンガポール料理)をご紹介するつもりだったが、つい先日、精密検査のために1泊2日の入院をしたので、その際に食べた3食の病院食について書いていく。このコラムのタイトルにあるような「美味」でもなく、もはや何でもアリになった感はあるが、ヒマネタとしてお付き合い願いたい。
4人部屋だったはずが、ベッドが空いていなくて……
1泊2日の検査入院といっても、検査に2日かかるわけではなく、検査そのものは30分くらいで終わるが、検査後にもし体調をくずしたり、検査した個所から出血したりした場合にすぐ対処できるよう、念の為に病院に1泊にするというだけ。
午前9時過ぎに病院の受付で入院手続きを済ませ、病室のある12階に行く。そこで名前を言うと、係の人が病室へと案内してくれた。ドアを開けると、そこは個室。追加料金のない4人部屋を予約していたはずなのだが……。

「4人部屋をご予約いただいていましたが、今日はベッドが空いていなくて、申し訳ございませんが、こちらの個室にさせていただきます。追加料金はもちろん不要です。こちらでよろしいでしょうか?」
よろしいでしょうかなどと聞いていただく必要などどこにもない。大歓迎である。飛行機のエコノミークラスを予約したのに、空港でチェックインしたらオーバーブッキングでビジネスクラスに自動アップグレードされたようなものである(これまで国際線で4回経験している)。もちろんウェルカムドリンクのシャンペンは出てこないし、食事がアップグレードされるということもないが。

後で確かめてみたら、この病院に4種類ある個室のうち、下から2番目のグレードの部屋で、料金は1泊2日で3万3千円。出張ではビジネスホテル、海外旅行では安ホテルにしか泊まらない身としては、高級ホテルに宿泊するような気分である。
検査を終えて部屋に戻ると、もう午後1時過ぎ。遅い昼食として出てきたのがこちら。

冷やし蕎麦にかき揚げとれんこんの挟み揚げ、フルーツにオレンジ2切れ。病院食は量が少なく味気ないと聞いていたが、そこそこボリュームもあって、味もまあまあ。大満足とまではいかないが、まあ満足できるものだった。
昼食を食べ終えると、あとはもう何もすることがない。テレビは有料のプリペイドカード式で、カードは1枚1000円で900分見られる。つまり15時間。これから1日中、寝ている間もテレビをつけっぱなしにしておいてようやく使い切れる時間数。もともとテレビを見るつもりもなく、仕事のために読んでおく必要のある本を持ってきていたので、ソファに座ってそれを読んでいた。
そして、6時ちょっと前に夕食が運ばれてきた。

メニューは、メバルの甘酢あんかけ、冬瓜の煮物(カニ風味)、アスパラのおひたし、バナナ。こちらは病院食らしく、醤油がついていたおひたしを除いて、どちらも味が薄い。これだけで足りるだろうかと思ったが、〆のバナナでお腹いっぱいになった。
一緒に渡された翌朝の朝食の選択で、和食にするかパン食にするか、食事中ずっと頭を悩ませ(ウソ)、パン食に即決するも、予約する朝食の日付が3日後のものだったので、トレーを下げに来た係の人に日付が間違っていることを伝えた。

ところが、これは実際に3日後の朝食の予約で、明日の朝食はもう予約できず、予約表が出たのは何かの手違いだったと。和食にするかパン食にするかで悩んでいた俺の時間を返せ〜と言いたかったが、実際に悩んだのは2〜3秒。というわけで、明日の朝食は出てきてからのお楽しみ、ということになった。
結局、夜は10時前に寝てしまい、翌朝6時に起床。7時50分ごろからの朝食は和食だった。

しんじょ(真薯=エビ、カニ、魚の白身などをすりつぶして山芋や卵白、だし汁などを加えて調理した料理)に青菜のくるみ和え、白菜と人参が具の味噌汁。どのおかずも味が薄くてご飯のおかずにはならず、ふりかけでなんどかご飯を食べきった。やっぱり病院食は味が薄い。入院患者の病状や治療法によって出てくる料理や味付けも違ってくるのだろうが、こちらは単なる検査入院で、まだ病気と決まったわけではない。もう少し味を濃くするか、醤油を追加で付けてほしかった。
退院した後に病院食の写真をSNSにアップすると、アメリカ人の知り合いからは「アメリカの病院と全然違う」というコメントが。どう違うのかと返信したのだが、その返事はこなかった。一方で中国人の友人からは「これで足りるの? どおりで日本人は太らないはず」という、中国人らしいコメントが返ってきた。
人生で初めての入院が個室だったというのは非常にラッキーな経験ではあったが、4人部屋は4人部屋で、他の人との相性が合えば、それはそれで楽しいのかもしれない(相性が合わなかったら最悪ではあるが)。とはいえ、やはり入院はしたくないものである。
佐久間賢三
仕事が忙しいわけでもないのに、出張以外にどこにも旅行に行かない日々。マレーシアのイポーで過ごした今年の旧正月が楽しすぎて、すでに来年も行くつもり満々でいる。
