福岡県の南西部、「家具の街」としても知られる大川市に出張に行った時のこと。すぐ隣の佐賀県佐賀市に知り合いがいたので、ホテルを予約している福岡市に向かう前に、佐賀駅付近で一緒に飲むことに。地元ならではの店に連れていってもらったのだが……いやはや、想像以上に奥深い“佐賀グルメ旅”になった。

吉野ヶ里遺跡で脳内が弥生時代にタイムスリップ

 大川市からタクシーで佐賀駅に到着。まだ日も高く、待ち合わせまでだいぶ時間があったので、佐賀駅からローカル線に乗って吉野ヶ里遺跡へ。言わずとしれた、弥生時代の集落跡である。

 弥生時代と聞くと、なぜか埴輪(はにわ)好きだった子供の頃を思い出す……と書きたいところだったが、調べてみたら、埴輪が盛んに作られていたのは弥生時代(紀元前10世紀頃〜紀元後3世紀中頃)の後の古墳時代(3世紀中頃〜7世紀頃)のことで、実際、吉野ヶ里遺跡で埴輪は発掘されていないそうである。

 それはともかく、2千数百年前にここに住んでいた人たちの息吹を脳内と体で感じながら、遺跡や再建の建物を見ていった。

佐賀県ではサバが生でも食べられる!?

 そして、夜。知人が連れていってくれた店は、佐賀駅からちょっと離れた飲食店街にある和食の店で、ちょっと高級店っぽい。いつも安い居酒屋でしか飲んでいない身としては敷居が高かったが、知人はこの店の大将と知り合いのようで、楽しく飲むことができた。

 お通しの後に出てきたのが、なんと「生サバの漬け」。

 柚子胡椒を添えて口に運べば、とろけるような旨さ。調べてみると、佐賀には寄生虫リスクを抑えた「唐津Qサバ」というブランド養殖サバがあり、生で食べられるのだとか。サバ好きにはたまらない逸品だ。

 お次は、魚の甘露煮。手前に見える細長く白いのは、口を開けた魚の歯(牙?)である。

 このエイリアンのようなおどろおどろしい顔の魚は、有明海で獲れるワラスボという魚で、ハゼの仲間なのだとか。刺し身、干物、揚げ物、炙り物、煮物などなんでもこいで、地元ではポピュラーな魚らしい。

ワサビの代わりに青唐辛子!?

 そして、お造り。真ん中手前が、生サバの刺身である。

 ここで驚いたのが、刻んだ青胡椒(青唐辛子)が一緒に出てきたこと。佐賀では刺身を食べる際にワサビだけでなく、青胡椒もよく使うのだとか。確かに、適量を刺身に乗せて醤油をつけて食べると、ワサビとはまた違った刺激が魚の味を引き立ててくれた。

青胡椒の爽やかな辛さが、魚の旨味をぐっと引き出す

 そういえばこれまでも、沖縄ではコーレーグース(島唐辛子を泡盛に漬け込んだ調味料)を醤油にたらして食べたし、徳島では特産のすだちを魚に絞りかけて食べた(醤油にたらして食べる人もいるらしい)。刺身の食べ方も、地方によって少し異なるのが面白い。

佐賀レンコンとワラスボ酒で〆

 続いて出てきたのが、佐賀の特産・レンコンを使った煮物。

ダシが染み込んだ厚切りのレンコン

 レンコンの食感がシャクシャクではなく、ホクホクした芋のようで、最初に口に入れた時の想定外の歯応えが新鮮だった。関東で一般的に食べられているものとは種類が異なるらしい。

 最後の一杯は、先ほど食べばかりのワラスボの干物を浸した熱燗。ヒレ酒のワラスボ版である。

炙ったワラスボの干物
炙ったワラスボを熱燗に投入

 正直、ヒレ酒と味わいがどう違うのかはよく分からなかったが、炙ったワラスボの香ばしさと日本酒の熱燗の芳醇な香りが絡み合うように漂い、鼻腔と口腔を優しく撫でていく。佐賀尽くしの〆にふさわしい一杯となった。

 吉野ヶ里遺跡で歴史に触れ、夜は佐賀ならではのご当地グルメを満喫。生サバ、ワラスボ、青唐辛子、レンコン……どれも東京ではなかなか出会えない味ばかりだった。昨年の「都道府県魅力度ランキング2024」で見事(?)最下位に輝いた佐賀県だが、実際には歴史ロマンにご当地グルメと、隠れた魅力にあふれていた。

関連リンク

ウィキペディア「大川市」

吉野ヶ里歴史公園

ウィキペディア「埴輪」

完全養殖「唐津Qサバ」

佐賀県有明海漁業協同組合「ワラスボ」

ブランド総合研究所「都道府県の魅力度等調査結果」

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佐久間賢三

今年も旧正月をマレーシアのイポーで過ごす。来年も行くつもりでいたが、調べたら来年の旧正月は2月17日。月の半ばは出張が入ることが多く、無理やりにでも行こうかどうか、今から悩んでいるところ。