ガートナージャパン(Gartner)は5月21日、AIエージェントのセキュリティにおいて注力すべき6つのアクションを発表した。その概要は以下のとおり。
Gartnerが2026年2月にAIエージェントのセキュリティに関して国内で実施した調査によると、企業内ではAIエージェントの活用や活用に向けた議論がどうしても先行してしまい、その結果セキュリティの議論が後手に回っている、と回答した割合が59.3%に上った。
MCP(Model context Protocol)やA2A(Agent2Agent)など、AIエージェントでシステムやデータに容易にアクセスできるようにするためのテクノロジーが身近になってきている。しかし、こうしたテクノロジーにはセキュリティのメカニズムがなく、MCPやA2Aを使う場合にはセキュリティについて個別に検討し実装する必要がある。
データ活用やそのためのAIエージェントの利用については事業部門への「民主化」が進み、社内リソースへの動的なアクセスが可能になってきた。一方で、AIエージェントのセキュリティについてはIT部門が「中央集権的」に管理するケースがほとんどで、従来型の静的なセキュリティに留まっている。
自由で自律的なAIエージェントの場合、その動きを事前に想定できない、いわゆる「非決定論的」なデータ・アクセスが発生する。こうした動的なAIエージェントに対し、中央集権的で静的な従来型のセキュリティでは、リスクに対し十分な対処ができなくなってきている。
AIエージェントのセキュリティで注力すべき6つのアクションは次のとおり。
1. ライフサイクル管理
AIエージェントでは、正規のエージェントなのか乗っ取られた「ニセモノ」のエージェントなのかの判別が難しいだけでなく、古いエージェントがそのまま放置されると、それ自体が不正の温床にもなる。AIエージェントが無秩序に増加しシャドー化する前に、AIエージェントのライフサイクル管理を確立し、エージェントの登録、固有の識別符の付与、そしてエージェントの作成者/所有者の明確化を実施できるようにしておくことが重要となる。
2. 認証
人間のアクセスについては、スマホの通知機能を使った二要素認証が国内でも見られるようになってきた。しかし、AIエージェントは人間ではないため、スマホの認証が適用できない。AIエージェント固有の認証技術としては、従来RPAやAPIなどで使われてきた秘密鍵を用いた認証技術の応用が最も身近で現実的な議論となり始めている。企業は、短期的にはそうした既存技術の応用を検討しつつ、中長期的には今後登場してくる新しい認証技術を検討できるような視野の広さが必要となっている。
3. アクセス制御/権限管理
AIエージェントでも「最小権限」はセキュリティの原則。よってAIエージェントの目的に応じた適切な範囲でアクセス権を設定する必要があるが、自律的で再帰的なエージェントの場合にはこの設定がさらに複雑になる。こうした権限管理のプロセスに従業員が十分習熟するまでの間は、特にセキュリティ・リスクの高い自律的/再帰的エージェントについては個別にユースケースを特定し、全社一斉展開ではなく範囲を制限した展開が重要。
4. 情報漏洩対策
AIエージェントの利用によりデータへのアクセスが爆発的に増える時代となった。それと同時に、情報の取り扱いに不慣れなユーザーが簡単に重要情報を手にする機会の増加に加えて、AIエージェントが勝手に情報を持ち出す可能性が増えるなどのリスクの増加が懸念される。
5. モニタリング
AIエージェントについては、すでにプロンプト・インジェクションやエージェント・ハイジャックといった脅威が指摘されている。さらに自律的で再帰的なAIエージェントはその行動パターンの予測が困難であるため、脅威の検知はより一層困難なものとなる。AIエージェントの急拡大により高まるリスクに本格的に対処するには、AIセキュリティ・ポスチャ・マネジメント(SPM)やAIランタイム・ディフェンス、ガーディアン・エージェントといった技術を用いて、動的でコンテキスト・ベースのリアルタイム・モニタリングの技術を検討することが肝要。
6. セキュリティ・プロセスの設計と周知
企業では、これまで述べた5点をもとに、AIエージェントのためのさまざまなセキュリティ・プロセスを設計し、それを従業員に周知していくことになる。
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