JPCERT/CCは10月22日、「JPCERT/CC 四半期レポート[2026年7月1日~2026年9月30日]」を公開した。その概要は以下のようなものとなっている。

■インシデント報告の概況

本四半期にJPCERT/CCに寄せられたインシデント報告件数は1万2932件で、前四半期の1万4056件から8%減少した。一方、調整件数は4048件と前四半期の3398件から19%増加しており、一件ごとの対応の重みが増している。インシデント件数のカテゴリー別内訳では、フィッシングサイトが82.0%と圧倒的多数を占め、スキャンが3.0%で続いた。

■フィッシングサイトの傾向

フィッシングサイトの件数は7183件で、前四半期比14%・前年同期比21%いずれも減少した。国内ブランドを装ったものが64%を占め、そのうち金融関連が65.7%と最多。国外ブランドではAmazonやAppleを装ったものが多く見られた。8〜9月にかけてはVpassのキャンペーンサイトを模倣した偽サイトが急増し、クレジットカード情報の詐取を目的とする手口が確認された。

■Webサイト改竄の急増

Webサイト改竄は603件と、前四半期の181件から233%と大幅に増加した。正規サイトに海外オンラインカジノへのリンクを非表示で大量埋め込む不正SEO事例や、EC-CUBEで構築されたECサイトにC2サーバーと通信するJavaScriptが埋め込まれてクレジットカード情報の窃取が試みられた事例が報告されている。

■主要な脆弱性対応事例

FortiGate管理者認証情報が大規模に流出した「FortiBleed」攻撃では、国内関連の認証情報が1万件以上確認され、Kerberos・NTLMハッシュの漏洩も含まれていた。Ruby on Railsの「KindaRails2Shell」(CVE-2026-66066)はRCEにつながる深刻な脆弱性で、GitHubにエクスプロイトコードが公開されたため迅速に注意喚起を発出し、国内の稼働ホスト数が注意喚起後に約200台から170台へ減少した。NetScaler ADC/Gatewayの脆弱性(CVE-2026-8452)でも、SAMLを構成する国内500台の稼働を確認し個別通知を実施した。

■インターネット定点観測(TSUBAME)とハニーポット

TSUBAMEでは引き続きTelnet(23/TCP)宛のパケットが最多。探索元地域ではウクライナが7月から8月初めにかけてパケット数を増加させ、トップ10外から4位に浮上した。ハニーポットではAI/LLM開発者ツールを狙う攻撃が継続的に観測されており、GradioへのPythonコード注入やMCP関連ツールの未認証RCE悪用など対象が拡大している。また、Mirai系ボットネットによる20種以上のIoT機器を標的にした集中的なスキャンが7月上旬に観測された。

■脆弱性情報の流通

本四半期にJVNで公表した脆弱性情報は148件(累計6243件)。総務省が提供するアクセシビリティ評価ツール「miChecker」のXXE脆弱性や、古野電気製の船舶用AIS「FA-50」のハードコード認証情報脆弱性など、これまでJPCERT/CCが扱ったことのない種類の製品の調整も行われた。

■フィッシング対策協議会の活動

フィッシング報告件数は前四半期に引き続き減少傾向の一方、攻撃者はメールフィルタリング回避のためUnicode不可視文字の埋め込みや正規クラウドインフラからの送信といった手法に移行しており、9月にはAndroid端末向け不正アプリのインストールを促す手口も確認された。

関連リンク

四半期レポート