香港2日目の夜。昼間は九龍寨城公園、前深水埗配水庫、美荷樓生活館と歩き回り、ホテルに戻ってシャワーを浴びて一休み。日が落ちかけたころ、別のホテルに泊まっている同級生親子と再び合流して、廟街(ミウ ガーイ Temple St.)の夜市に繰り出した──。
ミシュランガイドに掲ったがための悲劇
廟街の夜市は前日に来たばかり。だが昨日は一人。屋台を冷やかしても、ビールを傾けても、どこか物足りない。悪くはなかったが、一人は一人。だが、今夜は仲間がいる。正直、ちょっと張り切って出かけた。
しかし、天気は前日と同じく小雨模様。仕方ない、屋台巡りは早々に切り上げて、通り沿いの食堂に入った。昼間におやつを食べすぎて、腹はまだ六分目といったところ。というわけで、頼んだのはこれだけ。


昨日と同じくサラダ代わりの青菜炒め。そして広東海鮮料理の定番、蒜蓉粉絲蒸扇貝(シュン ヨン ファン シー ジン シン ブーイ ホタテと春雨のニンニク蒸し)。蒜蓉はニンニクのみじん切り、粉絲は春雨、扇貝は帆立貝。名前からしてもう美味い。
ニンニクがたっぷりどころじゃない。これは多い。少し脇によけてから、いただく。うん、ビールに合う。合いすぎる。
もちろんニンニクごと豪快に頬張ってもいいのだろうが、それじゃあニンニクの独壇場になってしまう。ホタテはどこへ行った、となってしまう。そこへいくと、春雨がいい仕事をしている。ホタテの旨味とニンニクの香りをたっぷり吸い込んで、これだけで一皿になる。
軽く腹を満たしたあとは、廟街から歩いてすぐのところにある香港スイーツの糖水(トン ソイ)の有名店、佳佳甜品(ガーイ ガーイ ティム バン)へ。

この店は2016年版『ミシュランガイド香港・マカオ』のストリートフード部門に初めて選ばれて以来、長年掲載され続けているそう。案の定、この時間でも長い行列ができている。
こういうとき、連れがいるのはありがたい。もし一人だったら、この列を見た瞬間「やーめたっ!」と踵を返していたに違いない。列に並んで今日のこととか明日のこととかをしゃべっているうちに順番が回ってきて、テーブル席へ。注文したのはこちら。

楊枝甘露(ヨン ジー ガム ロゥ)。マンゴーやポメロ(ザボン)、サゴ(サゴヤシから作るタピオカ状の食品)やココナッツミルクなどで作る香港スイーツの代表選手だ。
マンゴーの独特な甘さ、ポメロの爽やかな酸味、ココナッツミルクのまろやかさ。香港人たちが晩御飯のあとに香港スイーツを食べる気持ちがよく分かる。

こちらは自分が食べたものではないので自信はないが、おそらく芋茸蓮子西米露(ウー ヨン リン ジー サイ マイ ロゥ)、タロイモと蓮の実入りのタピオカ・ココナッツミルクだ。写真写りが悪いが、こっちも美味そうだ。
糖水というのは、日本でいえばお汁粉やみつまめのような、汁っけのあるスイーツのこと。具材や汁の種類はさまざまで、温かくしても冷たくしても食べられるものが多い。
さて、この佳佳甜品、糖水の名店として名を馳せ、2016年にはミシュランにも選ばれた。めでたし、と言いたいところだが、そうはいかなかったらしい。報道によると、掲載で売り上げが伸びたことを嗅ぎつけた大家が、家賃をそれまでの倍以上に値上げすると言い出したというのだ。くーっ、世知辛い世の中だ。
それではとてもじゃないがやっていけないということで、近くの狭い店舗へ移転を余儀なくされた。そして昨年9月にはまた近くの場所に移転し、今では旺角(ウォン ゴック Mong Kok/モンコック)、銅鑼湾(トン ロー ワーン Causeway Bay/コーズウェイベイ)、荃灣(チュン ワーン Tsuen Wan/チュンワン)にも2〜4号店を構えるまでになっている。
もっとも、現地の報道によれば、店舗が増えたことで一部の香港人からは「昔の佳佳甜品とは違う」「器が小さくなった」「味が落ちた」といった声もあがっているのだとか。名店は名店で、いろいろ大変そうだ。
話を戻そう。店を出るころには、雨はすっかりあがっていた。ホテルに戻ってスマホを開くと、この日の歩数は2万9220歩。食べてばかりの一日だったが、そのぶん歩いた。食べた分のカロリーは、まあだいたい帳消しということにしておこう。
明日は端午節(デュン ンー ジット)。中華圏では旧暦で祝うので、新暦の5月5日とは日付がずれる。日本ではこどもの日だが、こちらではまったく別の祭日だ。そしてこの端午節には、中華圏恒例のイベントがある。実は、見るのは初めて。明日も楽しそうだ。

関連リンク
九龍寨城公園(香港政府観光局)
前深水埗配水庫(香港政府観光局)
YHA美荷樓青年旅舍(香港政府観光局)
廟街夜市(香港政府観光局)
香港“風”二次会 ― 糖水(トンスイ)(日本香港人協会)
佳佳甜品(香港政府観光局)
ミシュランガイド(公式サイト)
楊枝甘露(Wikipedia)
「香港の「庶民派名店」がミシュランに選ばれたら…大迷惑だった!|家賃高騰に超過労働…店主が怒りの激白」(Courrier Japon)
荃灣(香港政府観光局)
「47年老字號糖水店「佳佳甜品」進駐荃灣!年半極速開3間分店 街坊嘆質素下降:點保持水準」(星島頭條)
端午節の見どころとアクティビティ(香港政府観光局)
佐久間賢三 一昨年、昨年と旧正月をマレーシアのイポーで過ごす。今年も行きたかったが、今年の旧正月は2月17日。月の半ばは出張が入ることが多く、断念。気が早いが、来年の旧正月は2月6日(土)。来年は必ずまた訪れようと、心に誓っている。
