イポー最後の朝。いつものようにみんなで朝ご飯に出かけ、いつものように「もっと食べな」と言われ、朝からお腹いっぱいとなった。
もともとは中国・広東省東部の潮州地域の食べ物
この日はちょっと早く起きたので、朝ご飯を食べに行く前に、泊まっている家の周辺に散歩に出た。外にいる人の数はまばらなものの、公園で運動するお年寄りたち、屋台で朝ご飯を買う人たち、そして町並みを眺めながら、イポーでの日々を名残惜しんだ。
大人5人、子供1人で車に乗って遅めの朝食を食べに行くと、出てきたのは咖喱麵(curry mee=カレー麺)。咖喱麵はイポーの名物料理の一つで、これまで何度も食べてきた。ところが、写真を見返してみたら、今回のイポー(&クアラルンプール)滞在でカレー麺を食べたのは、意外にもこの時のみだった。
麺と太めの米粉(ビーフン)が入ったカレー麺を平らげ、「はー、うまかった、ごちそうさま」という時になって、「今日、日本に帰るんだから、もっと食べな」と、眼の前に置かれたのがこれである。いつの間に頼んだのやら。
チャー クェイ ティオ、中国語で書くと「炒粿條」となる。きしめんのような平たい米粉をもやしとエビ、卵で炒めてある。Wikipediaで見ると、炒粿條は中国・広東省東部の潮州地域でよく食べられているもので、マレーシア北西部にあるペナン島の潮州人たちが作り始めたものがマレーシア全土に広まっていったのだという。
炒粿條の粿條は潮州語で「平たい米粉」という意味で、それを炒めたから炒粿條。読み方は潮州語で「chhá-kóe-tiâu」と読むそうだが、この綴りではどう発音するのかよく分からない。ネットで炒粿條の閩南語の音声を見つけたので聞くと、「ツァー グャ ディアオ」に聞こえる。
閩南語は中国南東にある福建省南部の言葉で、福建語とも呼ばれたりするが、そのすぐ西隣にある潮州の潮州語とは言語的には同じ仲間。とはいえ、発音は微妙に異なるようなので、潮州語ではやや違う読み方になるのかもしれない。
では、イポーの広東人の間ではどう呼ばれているのか。炒粿條を広東語読みすると「ツァーウ グォー ティウ」となるが、こちらでは福建語の料理名は広東人でもそのまま福建語読みすることが多いので、次にイポーに行った時に聞いてみたいと思う。
それはさておき、炒粿條は黒っぽく炒められていて、味が濃そうに見えるが、薄い醤油系のあっさり味。お腹が空いている時に食べたら、もっと美味しく味わえたと思う。それをなんとか食べ終えると、さすがにお腹いっぱい。その後、昼の時間を過ぎて午後2時頃になってもお腹が空かず、イポーの空港に向かう前に食堂に連れていってもらったが、何も食べずにコーヒーを飲んだだけだった。
そしてイポーの空港からシンガポールに向かう。シンガポールの空港では、仕事の用事で今回のクアラルンプールの結婚式に来られなかった、イポーの親戚の子が迎えに来てくれる。その時の話は次回に。
佐久間賢三
仕事が忙しいわけでもないのに、出張以外にどこにも旅行に行かない日々。マレーシアのイポーで過ごした今年の旧正月が楽しすぎて、すでに来年も行くつもり満々でいる。