次回からの後編。盛岡駅の周辺で、昼食に盛岡三大麺のうちの冷麺とじゃじゃ麺を食べ、現地で用事を済ませて帰る前に、三大麺の残りもう一つ、わんこそばを食べることにした。

お一人様はお断り!?

 2回の昼食を終え、いっぱいになったお腹を抱えて盛岡駅から電車に乗って花巻へ。そこでの用事を済ませた後、花巻駅近くにわんこそばの店があるというので、まだお腹は空いていなかったが、10分ほど歩いて行ってみた。

 ところが、店に入ってお店の人に「わんこそばを食べたい」と伝えると、「わんこそばは、お一人様は受け付けていないんです」と、すげなく入店拒否されてしまった。

 確かにわんこそばは、店員が客のお椀に次から次へとそばを入れていくものだから、一人の客を相手に一人の店員では効率が悪い。そこは理解できるが、まだ夕食の時間までは間があり、混む時間帯でもなく、店内は静かである。たとえ一人の客で効率は悪くても、一人分の売り上げはあるのだから、店をヒマにしておくよりはマシだと思うのだが……。

 ちょっと納得いかなかったが文句を言うわけにもいかず。仕方がないので何も食べずに電車に乗って盛岡に戻った。しかし後から考えてみたら、昼に食べた麺類2つがまだお腹に残っていた。あそこで食べていたら、せっかく食べ放題のわんこそばも、それほど食べられなかったかもしれない。

そばは噛まずにそのまま飲み込む

 花巻駅から40分ほどで盛岡駅に着くと、東京に戻る新幹線までまだ時間があった。そこで改札を出て駅前に出ると、正面のビルにわんこそばの店が。花巻でのことがあったので、店に入る際に「一人なんですけど大丈夫ですか?」と恐る恐る聞いてみた。すると「大丈夫ですよ!」と明るい声(のように聞こえた)の返事。いそいそと店内に入っていった。

 わんこそばを食べるのはこれが初めて。1杯のそばの量がどれくらいなのかも知らない。店の説明書きを見ると、女性で平均40杯、男性で60杯くらいだというので、とりあえず60杯以上、できたら100杯超えを目指すことにした。

 テーブルに刺し身や小鉢、漬物、薬味、空のお椀が並べられると、店員さんがそばの入ったお椀がたくさん乗ったお盆を持ってすぐ前に立つ。こちらのお椀に入れられたそばを見たら、するっと一口で食べられるほどの量。想像していたよりもかなり少なかった。これなら100杯いけるかもしれないと思い、スタートした。

 漫画『美味しんぼ』で中松警部がそばを噛まずにそのまま飲み込むのを見て以来、もりそばを食べる際、半分は噛んで食べ、半分はそのまま飲み込んで喉越しを味わっていたので、噛まずに飲み込むのには慣れていた。わんこそばはスピードも重要かと思い、一杯分のそばを噛まずに一気にすすって、お椀を店員さんに差し出した。

 時計で計っていたわけではないが、感覚的にはお椀にそばが入れられて空にしてから差し出すまで3秒ほど。店員さんもこちらのテンポに合わせてそばを次から次へと入れてくれる。眼の前にある薬味やなめこおろし、とろろで味変などしているヒマはない。

 空いたお椀がテーブルの上に重ねられていく。お盆にあったお椀が全部なくなると、店員さんは新しいお盆を取りに奥へ行く。それがちょうどいい休憩となり、お椀に薬味やなめこおろしを少し入れて、戻ってくるのを待つ。

 快調に椀を重ねていったが、何杯食べたかなど数えている余裕はさすがにない。胃の中には噛まずに飲み込んだそばが次々に流し込まれていった。

 店員さんが新しいお盆を取りに行ったのは何回目だろうか。徐々にお椀を空にするスピードが鈍っていく。限界まで食べることもできたが、それでは、ほとんど手を付けていなかった刺し身や小鉢が食べきれない。

食べ終えた時点でのお椀

 食べ物を残すのは好きではなかったので、ギリギリ手前でギブアップ。それでも相当お腹いっぱいだった。そのあと刺し身や小鉢を食べたが、食べたというより口に詰め込んだようなもので、味などほとんど分からなかったのは言うまでもない。

 お椀の数を店員さんが数えてくれて、83杯。テーブルの隣でほぼ同時にスタートしたおじさん二人が100杯超えをしたのを見て、ちょっと悔しかった。お昼に欲張って冷麺とじゃじゃ麺の両方を食べたりしなかったら、わんこそばに挑戦する頃にはお腹が空いていて、100杯超えも可能だったのではないかと思う。

食べ終えると、何杯食べたかを記した証明書をもらった

 冷麺は朝鮮半島由来、じゃじゃ麺は中国由来、そしてわんこそばは日本独自というか、盛岡独自のもの。盛岡の三大麺は東アジアの三大麺であるともいえるだろう。次回、盛岡にまた来る機会があったら、昼は冷麺かじゃじゃ麺のどちらかにして、夕方にお腹を空かせてわんこそばに挑戦したいと思っている。

佐久間賢三

仕事が忙しいわけでもないのに、出張以外にどこにも旅行に行かない日々。マレーシアのイポーで過ごした今年の旧正月が楽しすぎて、すでに来年も行くつもり満々でいる。