前回の京都駅から新幹線に乗って山口市へ。2時間ちょっとで新山口駅に着き、そこから在来線の山口線に乗り換えて、7駅目でようやく山口駅に到着した。で、駅前に出てみると……あれ? 県庁所在地の駅なのに妙に静か。駅前に広がるのは、どこかノスタルジックな空気。どうやら繁華街は、ひと駅手前の湯田温泉か、新幹線の止まる新山口駅あたりにあるらしい。ちなみに山口市、県庁所在地ではあるけれど、人口は下関市に次いで県内2位だとか。ふむ、なるほど。

ノスタルジックな雰囲気を漂わせた山口駅の表示板

「おばいけ」なるものとはいったい

 市内での用件は明日なので、ホテルにチェックインして荷物を置くと、夕食を食べる場所を探して近くの商店街に。まだ日も暮れきっていない時間だというのに閑散としたアーケード商店街で、ようやく見つけた居酒屋に入ってみた。

ほとんどの店がシャッターを閉じていて、人通りも少ないアーケード商店街

 店内はこぢんまりとしていて、商店街の閑散ぶりとは打って変わって、地元のお客さんでいっぱい。カウンター席に腰を下ろしてメニューを見ると、ひときわ目を引く謎の一品が。

「すみません、この“おばいけ”ってなんですか?」

注文を取りにきた店のおばさんに聞くと、「ああ、おばいけはね、クジラのしっぽと身の間のところ。酢味噌に和えて食べるんですよ」とのこと。実は酢味噌に和えたものはそれほど好きではないのだが、関東では食べる機会がないので、頼んでみることにした。それがこれである。

 出てきたのは真っ白な一品。脂身っぽい見た目ながら、口に入れるとフワフワ……いや、ホロホロ? なんとも不思議な食感で、クセがなく、あっさりしていて、酢味噌との相性が抜群。

 後から調べると、これは山口県の郷土料理の一つだそう。西日本では東日本に比べるとクジラはごく一般的な食材で、福岡県出身の友人からは「うちのところでは“おばけ”って呼んでた。子どもの頃よく食べてたよ」と。なるほど、地域によって呼び方が変わるのか。

 ちなみにネット情報によると、おばいけは「薄くスライスして茹でたものを、酢味噌などで食べる」となっていて、今回食べたものとはちょっと違っていた。店や地域によって食べ方が異なるのかもしれない。こういう発見があるから、地方メシ巡りはやめられない。

皿うどんとは似て非なるもの?

 その翌日。用事を済ませて帰京する前に、帰る前にもう一杯、じゃなくてもう一麺。山口市の名物麺「バリそば」を食べに、元祖とされるお店へ。山口県の名物麺といえば「瓦そば」が有名だが、こちらは山口市の名物。バリッと揚げた麺が特徴だから、この名がついたらしい。

 長崎の皿うどんに似ているようで、ちょっと違う。バリそばは太めの揚げ麺にとろみのある鶏がらスープ。一方の皿うどんは細麺であんかけ。微妙に似て非なるものだが、野菜たっぷりで、しみじみ美味しい。こういう観光客向けではない地元グルメはハズレがない。

 帰りは宇部空港から羽田へ。羽田→(飛行機)→鳥取、鳥取→(特急「スーパーはくと」)→京都、京都→(新幹線・在来線)→山口と、なかなかの移動距離。2泊3日でしっかり仕事……もしたけど、それ以上に食べ歩いていた気がしないでもない。いやいや、ちゃんと用事を済ませた後だから問題なし。

 さて、次の出張先はどこになるやら。どんな“ご当地料理”が待っているのか、ちょっと楽しみである。

おまけカット:商店街を歩いているうちにいきなりデジタルカメラの画像がサイケデリックに

関連リンク

吃貨美味探訪記 No.237(出張地元メシ編その28)「関東民ビックリ! あの高級食材が駅そばに──京都府京都市・鱧の天ぷら梅肉添え冷やし蕎麦」

山口県山口市観光情報サイト「西の京 やまぐち」

ふるさとの味:JR西日本「おばいけ」

山口県観光サイト・おいでませ山口へ「山口県民が愛してやまないご当地グルメ!」

ウィキペディア「バリそば」

山口県観光サイト・おいでませ山口へ「山口名物「瓦そば」って?県内おすすめ店と食べ方・レシピを徹底解説!」

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佐久間賢三

今年も旧正月をマレーシアのイポーで過ごす。来年も行くつもりでいたが、調べたら来年の旧正月は2月17日。月の半ばは出張が入ることが多く、無理やりにでも行こうかどうか、今から悩んでいるところ。