情報処理推進機構(IPA)は5月27日、「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書を公開したことを発表した。今回公表した資料では、中小企業が実際に行っている対策や効果が見られた対策のポイントについても報告している。その概要は以下のとおり。
■今回報告のポイント
1.OSやウイルス対策ソフトの最新化を実施している企業は約7割
「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」の25項目について、「実施している」と「一部実施している」を合わせた解答の割合は、「パソコンやスマホなど情報機器のOSやソフトウェアは常に最新の状態にしていますか?」(73.0%)が最も高く、次いで「パソコンやスマホなどにはウイルス対策ソフトを導入し、ウイルス定義ファイルは最新の状態にしていますか?」(71.4%)だった。基本的なセキュリティ対策はある程度定着していることがうかがえる。
一方で低かったのは「新たな脅威や攻撃の手口を知り対策を社内共有する仕組みはできていますか?」(37.9%)、次いで「情報セキュリティ対策をルール化し、従業員に明示していますか?」(39.2%)、「セキュリティ事故が発生した場合に備え、緊急時の体制整備や対応手順を作成するなど準備をしていますか?」(39.8%)だった。組織的に取り組む必要のあるセキュリティ対策が進んでいないことがうかがえる。
3.情報セキュリティ対策実施によりサイバーインシデント被害が低減した
「自社診断」の25項目を「実施している…4点」「一部実施している…2点」「実施していない…0点」「わからない…-1点」で点数化し、25項目の対策状況を採点したところ、合計点が高い企業ほどサイバーインシデントによる影響を「特になし」と回答した割合が高い傾向が見て取れる。情報セキュリティ対策の実施により、サイバーインシデント被害(影響)の低減が期待される。
3.1割強の企業が取引先から情報セキュリティ対策の要請を受けている
発注元企業から情報セキュリティに関する要請を受けた経験がある企業の割合は1割強。要請された内容は、8割が「秘密保持のための措置」(79.6%)だった。要請された対策の実施に向けての課題は、「対策費用(具体的な対策と費用)の用意、費用負担の検討」(51.3%)が最も多く、次いで「情報セキュリティ対策に関する販売先(発注元企業)との契約内容の明確化」(47.0%)、「専門人材の確保・育成」(32.9%)だった。コストや人材不足が課題となっていることがうかがえる。
4.セキュリティ体制を整備している企業の約6割が、取引につながった
取引先(発注元企業)から情報セキュリティ対策に関する要請を受けた経験がある企業のうち、セキュリティ体制の整備がされている(専門部署(担当者)がある)企業の59.8%が、発注元からの要請でサイバーセキュリティ対策を行ったことが取引につながったと回答しているのに対し、セキュリティ体制の整備がされていない(セキュリティ対策は各自の対応に任せている)企業は24.2%に留まっていた。取引先から要請を受けた企業側の担当者の実感として、セキュリティ体制が整備されている企業のほうが、対策の実施が取引上の信頼を得るための重要な要素であることを示している。
5.第三者認証を取得している企業の約7割が、取引につながった
取引先(発注元企業)から情報セキュリティ対策に関する要請を受けた経験がある企業のうち、ISMS取得済みの企業の73.9%が、発注元からの要請でサイバーセキュリティ対策を行ったことが取引につながったと回答しているのに対し、ISMS未取得の企業は30.3%に留まっていた。取引先から要請を受けた企業側の担当者の実感として、サイバーセキュリティ対策に関する第三者認証を取得している企業のほうが、対策の実施が取引上の信頼を得るための重要な要素であることを示している。
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